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Melodian Cat

同人サークル「MelodianCat」の活動日誌です♪
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LORD of VERMILION 

さてさて、今回は、「りん太」シリーズとは別の小説を少しだけ載せてみます。

今回の作品は、アーケードTCG「LORD of VERMILION」を舞台にしたストーリーです。

ボク自身が実際にプレイしてるゲームなんですが、カードの中に、けっこうお気に入りのキャラがいたりするので、そういったキャラに焦点をあてたオリジナルストーリーを書いています。

世界設定など、基本的な部分は、元になっているゲームから持ってきていますが、他はかなり自由に書いてますw

ゲームには出てこない、オリジナルキャラも出てきますし。

今回は第1話だけを載せますが、一応続きもあります。

「LORD of VERMILION」は、いずれ同人誌化したいな~って考えてますけど、どうなることやらわかりません・・・

ゲームをやっている方は、背景がそれとなくわかると思うのですが、それ以外の方のために、prologueとして、公式サイトにある世界設定の説明を載せてみました。

若干、ボクの文章に合うように改変してますけどね。

それから、作品中に、少し仕掛けがあったりします。

ま、これは次回にもう少し詳しく話しますねw

何もヒントがない状態で気付いた方はすごい!と思います^^

そんなことで、「LORD of VERMILION~紅蓮の瞳の戦士」第1話です♪

『LORD of VERMILION ~紅蓮の瞳の戦士~』

Prologue.

太古より次元を異にして隣り合う七つの世界が在った。
それぞれ異なる種族が棲まう七つの世界は、少しずつ重なり合いながらも、互いに干渉する事なく、幾億もの年月、均衡を保ち続けていた。
【大崩壊】―
古書に語られる災厄の年までは・・・

人界の王の一人が失われた伝説を発見し、そして野望に取りつかれた。
各世界にある【アルカナ】を禁断の魔術により奪い、伝説に語られる【創生の力】を得ようと欲したのだ。
だが王はその力を制御する事に失敗した。

紅蓮に輝く【アルカナ】は七つに砕け、人界に四散した。
乱れた【創生の力】は七つの世界に裁きを下した。

天を、地を、海を引き裂き、ついには七つの世界を隔てる境界すらも崩壊させた。
【アルカナ】を失った六つの世界は、人界に引き寄せられ一つに融け、そして・・・
六つの世界の全ての種族が人界に溢れかえった。

そこに生まれたものは混沌だった・・・

時は乱世―
この世界【アケローン大陸】は六人の【ロード】が、互いの【アルカナ】を奪わんと争い続ける混沌の大地。

その地に今、紅蓮の瞳を持つものが一人降り立った。
伝説にうたわれた七つ目の【アルカナ】を持つ戦士が。


Ⅰ.旧き森

鬱蒼とした森の中、その一行はただただ、無言で歩き続けていた。
昼なお薄暗い森は、足元には分厚い落ち葉が敷き詰められ、その足音さえ吸い込んでしまう。
「ふー。少し休憩して、方向を確認しましょう。」
そんな静寂を破ったのは、一行の先頭を歩いていた女だった。
歩みを止めて一行を振り返るその瞳は、燃えるような赤。
深く深く、そして暗さを秘めた紅蓮(クリムゾン)
光少ないこの森の中ですら、その輝きを失わない銀髪は、肩の所できれいに切りそろえられている。
やや細身で切りあがった瞳、鼻筋の通った小ぶりな鼻、形の良い薄い唇。美しい女だった。
だが、その美しさゆえに、その瞳の紅蓮の色がやけに目立つ。
女は軽装の鎧に身を包み、腰には1本の剣を吊るしていた。
よくよく見れば、剣の柄には細かな意匠がほどこされており、その鞘には一面を覆う不思議な文様が刻まれている。
「それにしても、どこまで行っても息の詰まる場所だ。こんな所はさっさと抜けて、街で酒でも飲んでゆっくり寝たいもんだ。」
ふん、とため息を吐きながら、誰にともつかない言葉をつぶやいたのは、こちらも女。
背が高い女だった。
そのブロンドの髪は腰のあたりに届く程で、薄手の白いマントを羽織っているが、その下には胸部にだけ鎧を着込んでいるようだ。
だいぶ使い古したものか、マントの裾はバラバラとほつれており、女の整った顔立ちと、すらりとした体躯からは反対の雰囲気だが、不思議と見るものに違和感を与えない。
きつめの眼差しは吸い込まれそうな漆黒。
だが、確かに細く整った顔立ちをしているが、その顔からは常に冷気のようなものを発しており、その美貌を損なっているようにも感じられた。
そして何よりも目につくのは、その女が手にしているものだった。
女の身長にも届こうかというほどに長い長剣。
両刃のその長剣を、女は右手に握り締め、軽くその肩に乗せている。
そして、まったく同じ形の長剣を、もう一本無造作に背中に吊るしていた。
細身に見える体の、どこにそのような力があるのか、女は見るからに重そうなその長剣を、軽く、ぶん、と振り回すと、無造作にその足元に突き立てた。
女は、見廻しても見廻しても、どこまでも木ばかりしかない風景に、心底うんざりしたように顔をしかめた。
「何よりも退屈だ。」
「まったく・・・。貴女の退屈をしのぐものとは何かしら?物騒なことばかり次々と引き起こす貴女の悪運には、本当に感心しますわ。」
双剣の女戦士を横目に、嫌味っぽい言葉が発せられた。
頭部まですっぽりと覆う、薄い空色をしたローブに全身を包んでいる人物だった。
一見、地味な印象を与えるが、ローブの縁はすべて美しい銀糸で縁取られていた。
唯一、右肩近くに、縁を彩るものと同じ銀糸で、小さな文様が刺繍されている他には無地のローブであったが、円の中に五芒星が描かれているその文様は、このローブの人物が「魔導師」であることを何よりもはっきりと示していた。
「まるで自分が、月の女神アルテミスにでも愛されているような口ぶりじゃないか。」
嫌味を言われた双剣の女戦士は、周囲の様子を伺っていた姿勢はそのままに、顔だけローブ姿の魔導師を振り返り、唇の片方を吊り上げた。
「おまえを愛しているのは、冥界の王、プルートーだろうに。」
「な、何を!口の減らないお方ですわね!」
魔導師は、苛立ったように、一歩強く双剣の女に踏み出しながら、フードをばさりと払った。
艶やかな黒髪がフードの下から広がり、その容貌が露(あらわ)になる。
魔導師は女だった。
丸みを帯びた輪郭と、やや垂れ気味な瞳。それに加え、ほどよくぷっくりとふくらみを持った唇は、双剣の女戦士にも劣らない美しさだが、全体的にまだ幼さを残している。
女魔導師は、自分より背の高い双剣の女戦士に威圧されまいと、きっと顔を上げ、胸を反らす。
実際、二人の身長差はかなりのものであった。
女戦士は、そこらの男にも負けないほどの長身だが、一方で女魔導師の身長は、女戦士の胸元あたりまでしかない。
「【月の女神】アルテミスでも、その兄【光と炎の守護者】アポロンでも、今すぐにでもその加護を貴女に見せて差し上げますわよ!」
鼻息も荒く女魔導師は言葉を吐き出しながら、その右腕を胸元に引き寄せる。
ローブの袂(たもと)がはらりと落ち、むき出しになったその右腕は、手首から肘近くまでが籠手で覆われていた。
銀色とも金色ともつかない不思議な色合いを発するその籠手は、その表面に、細かで複雑な文様が刻まれており、さらに手首近くには、同じ金属を細く加工したもので文字が浮き彫りにされていた。
同じ「魔導師」が見れば、その文字が、今は失われたはずの、神代の神々が使ったといわれる【古い言葉(エンシェント・グラム)】であることがわかっただろう。
ほっそりした人指し指と中指には、宝石が埋め込まれた指輪を嵌めており、その指輪を打ち合わせるように、ピンと空に向かって指を突き立てる。
「おまえの口が、怪しい呪(まじな)いをつぶやくより早く、あたしの剣がその喉笛を欠き切るだろうさ。」
双剣の女戦士が、その美しい口元を、さらに歪めて、さも楽しそうに女魔導師に挑戦的な言葉を返した。
「あら。その無骨な剣などが、わたくしの体に触れられるとでも思っていらっしゃるのかしら?」
女戦士の放つ冷気にも負けず、女魔導師が、冷静さを保った振りを失わないように言うが、そのこめかみはヒクヒクと震えていた。
不意に差し込んだ一筋の細い光が、ローブ姿の女魔導師の瞳に反射した。
女魔導師の瞳は、右眼がサファイアのような透き通った青。だが、左目はエメラルドのような緑色をしていた。
オッドアイ。
多くの地域では呪われた瞳として忌避されることが多い。
オッドアイを持つものの中には、先天的に不可思議な力を持つものもおり、そうした「常人から離れた力」は、日常に住む者にとっては脅威と捉えられるものだからだ。
「ちょ、ちょっと、二人とも。こんな場所で喧嘩を始めないでくださいよ。【番人】にでも聞かれたらどうするつもりですか。」
一触即発の雰囲気を放つ二人の女のほうを振り返ったのは、一行で唯一の男だった。
革鎧を身に付け、背中に大振りの弓と矢筒を背負い、腰には短剣を下げている。
男は栗色の癖の強い髪をかき揚げながら、紅蓮の瞳の女に促され、その懐から地図を取り出していた。
「あとどれくらいでこの森から出られそう?」
そんな小競り合いなど聞こえもしないように、きれいさっぱり無視して、紅蓮の瞳の女が男に尋ねた。
「えっと・・・。方角はこれで間違いないはずですから、このまま順調に行けば、明日の昼過ぎには森を抜けて【リーヌ川】に出られるはずです。あとは、川に沿って下れば、すぐに目的地です。」
男は睨み合う女戦士と女魔導師のほうをちらちらと伺いながらも、広げた地図を指で辿って確認する。
「それほど予定からは遅れていないわね。」
その答えを聞いて、紅蓮の瞳の女は満足そうに頷く。
その時であった。

「リシア!!」

抑えた音量ではあったが、よく通る双剣の女戦士のその声は、一行に緊張を走らせた。
リシアと呼ばれた紅蓮の瞳の女は、はっと周囲を見回すと、腰に下げた剣の柄に手を伸ばす。
「アエネアス、方向と数は!?」
自らも周囲の気配を探りながら、リシアは双剣の女戦士に確認する。
「北西に・・・、二、いや、三か。」
双剣の女戦士、アエネアスは、女魔導師との小競り合いをいつの間にかやめて、足元に突き立てていた両刃の剣を引き抜きながら答える。
「ま、まさか、【番人】でしょうか・・・。」
アエネアスの言う方角を見ながら、男は素早く地図を懐にしまい、背中の弓を取りだす。
「【知恵と梟(ふくろう)の番人】ミネルバ・・・。」
男が小さく、この【旧(ふる)き森】の【番人】の名前をつぶやく。
【旧き森】。
そう呼ばれるこの地は、スペルヴィア神聖王国の遥か北に広がる広大な森林地帯であり、そこに無断で足を踏み入れたものは、一人残らず、この森を守護するという【知恵と梟の番人】ミネルバの恐ろしい呪いをかけられるという。
永く人間が足を踏み入れていないこの森に、一行が敢えて進路を定めたのには理由があったが、今はそれを後悔している場合でもなかった。
「この【旧き森】には、かつて確かに女神ミネルバが住まわっていたのでしょうが、【大崩壊】 後に【神族】がこの世界を後にしてから、【神族】の真の姿を見たものは誰もいないのです。その知識と力が感じられること以外、【神族】の行方はわからないのですから。」
女魔導師が、やはりアエネアスとの小競り合いなどなかったように、いつの間にかアエネアスと並んで一行の前に立っていた。
「森に住む獣の類か?アエネアス、距離はわかる?」
リシアが再度アエネアスに尋ねた時、
「みなさん、わたくしの後ろに!!早く!!」
女魔導師が叫び、懐から光るものを取りだした。
その言葉に一行がすぐさま反応し、自分の後ろへ下がるのを確認すると、女魔導師は自分達の周辺の木々へ向かって、懐から出したものを投げつけた。
一行四人を取り囲むような位置へ突き立ったそれは、小さな金属だった。
銀色の柄のない刃だけのそれは、乾いた音をたてて木に突き刺さった。
その数は四本。
女魔導師が右腕を前方に突き出し、指輪を嵌めた人差し指と中指を、すぅっと伸ばす。
二つの指輪を、指を交差させながらぶつけると、キン、と澄んだ音色が響いた。
その音色に反応し、先ほど投げた銀色の金属が淡い光を放ったかと思うと、それぞれが光の線で結ばれる。
光の線が、ちょうど四人を取り囲む形に張り巡らされた。

わが前方にラファエル。わが後方にガブリエル。わが右手にミカエル。わが左手にウリエル。

女魔導師の凛とした詠唱が始まる。

わが四囲に五芒星炎をあげたり。光柱に六芒星輝きたり。

詠唱にともなって、四人を取り囲む光の線が輝きを増していく。

アテー・マルクト・ヴェ・ケブラー。ヴェ・デトゥラール・オーラム・アケイン!!

魔導師の詠唱が一際高く響き渡ると、四人の周辺に突如光輝く壁があらわれた。
東西南北、正しい方向に並べられた聖なる触媒(ホーリー・カタリスト)を介して、天使の加護を持つ光の壁を呼び出す【聖なる障壁(エンジェリック・バリア)】の魔法であった。
次の瞬間、前方から光の壁に向かって何かが撃ちつけられた。
「ぐっ!」
その衝撃に、女魔導師がうめくが、なおも右腕に力を混めて突き出す。
バシュ!っという破裂音が鳴ったかと思うと、前方で光が複数はじけ、一行がそのまぶしさに一瞬目を閉じる。
「ユノ!今のは魔法か?!」
リシアが女魔導師、ユノに向かって叫ぶ。
「【輝ける矢(ライトニング・ボルト)】ですわ!この距離で、この精度、この威力・・・、それなりに力を持つ魔導師のようですわね。前方に魔力の高まりを三つ感じますし、今の【輝ける矢】も三本でしたわ。」
ユノが相手魔導師の力を計りつつ、なおも右腕を前方に突き出したままの姿勢で答える。
「待ち伏せなどありえないが・・・。わざわざ魔導師が三人も、たまたまこの森で暮らしていたわけでもなさそうね。」
ユノの言葉を受けて、リシアが顔をしかめる。
「ふん。周りを囲まれたな。呪い師どもに気を取られている間に、いつの間にかお仲間さんが展開したみたいだな。このあたしに気付かれずにここまで近づくとは、なかなか面白そうなやつらじゃないか。」
アエネアスが右手の長剣を握り直し、左手で背中のもう1本の長剣をも手に取る。
「待って、アエネアス!相手が魔導師では分が悪いわ。」
「いいえ、魔力を感じるのは前方の三人だけですわ。こちらはわたくしが懲らしめて差し上げますわよ。」
リシアの警戒の言葉をユノが遮り、今や視界に入る距離まで近づいてきたローブ姿の三人を睨みつけた。
「あたしは右だ。こっちの方が数が多くて楽しそうだ。」
アエネアスが両手の長剣を軽く振り回す。
明らかに両手持ち用の両刃の長剣を、だが、アエネアスは片手で軽々と扱ってみせる。
「私は後ろを。レムスは左をお願い。」
リシアが指示を出しながら、腰の剣を鞘走らせる。
腰から引き抜かれた剣は、柄だけではなく、その刃にもびっしりと複雑な文様が刻まれていた。

我が剣、【剣帝】ジェッソ!古の契約により我に力を!

リシアが剣を掲げながらその名を口にした瞬間、剣身が紅蓮の光に包まれる。
「やれやれ・・・。1人くらい生き残らせて、情報を聞きだしたほうが良さそうですね。アエネアス、いつもみたいに皆殺しは控えてくださいよ。」
レムスと呼ばれた男が、弓に矢をつがえながらアエネアスの方をちらりと見やる。
「ははん!あたしが手加減なんて器用なマネ、出来るわけがないだろうが!」
アエネアスが一行を取り巻く光の壁から踏み出し、両手の長剣をだらりと下げたまま、いかにも楽しそうな声音で言いながら、レムスの方を振り返る。
「それからな、レムス。あたしをその名で呼ぶのはいい加減やめな。」
アエネアスの漆黒だった瞳が、今は黄金色に光っていた。
「あたしは名前を捨てたんだ。」
再び視線を自らの前方に戻すと、その視界には、手に剣を持った人影が見え隠れしていた。
「あたしはただの【バーサーカー】だ。さあ、遊ぼうじゃないか!」
そう言うが早いか、アエネアスはあっという間に疾走を開始していた。
「わたくしのほうも、魔導師を相手に手加減など出来そうにないですわね。」
再び放たれた【輝ける矢】を光の壁で跳ね返し、ユノの左手には蝙蝠の羽と水晶の欠片が握られていた。

月の精霊、シャド・バルシュモス・ハー!銀の鏡もて、炎の怒りを映し出せ!!

右手で光の壁を維持したまま、左手では触媒を落とさないように、器用に連続した印を結び、ユノが高らかに謳いあげる。
通常、魔導師は、一度に一つの魔法を発動することが精一杯と言われている。
それをユノは、相手の魔法を打ち破るほどの威力の障壁を維持しつつ、片手だけで更なる魔法を紡いでみせた。
達人の域の技のキレだが、まだ幼さを残すその顔立ちからは、その実力の程が窺えない。
詠唱が終わった次の瞬間、ユノの頭上に燃えさかる炎の弾が三つ出現し、一直線に敵魔導師達に向かって突進していく。
ユノの前方で爆発音が鳴り響き、炎の柱がゴウっと立ち上る。
「レムス、一人は生け捕りに。他は殺しなさい!」
リシアもアエネアスに続き光の壁から抜け出し、木々の間を縫うように走りだした。
「リシアまでそんな・・・。まったく、いつも面倒は僕任せですね。」
レムスが、走り去ってしまったリシアの後姿に、恨めしい一瞥を投げつけながら肩をすくめる。
「まあ、仕方ありませんね。これも人間の身でありながら、その体に【アルカナ】を宿した【紅蓮の瞳の戦士】の歴史に加わるためです。」
レムスはその場からは一歩も動かず、狙いを定めたようにも見えない姿勢のまま、不意に矢を放った。
「うぐっ!」
「がっ!」
同時に放たれた二本の矢は、狙い違わず二人の敵の喉に突き刺さっていた。
「【光放ち討ち滅ぼす】エクスシアの加護を受けたメデュウムの弓。これで手加減も難しいんですよ、本当に。」
レムスが嘆息しながら、次の矢をつがえた。

「さて、残りはお前らだけか?思ったよりも楽しませてはくれなかったな。」
【バーサーカー】アエネアスは敵の返り血をその身に浴びながら、残った敵に笑いかけた。
すでに切り伏せた敵は両手の数を超えていたが、アエネアスの息にはひとつの乱れもなかった。
もともと美しいその顔は、今や妖艶なまでのオーラを発していた。
黄金色に輝く瞳はますます光を増し、アルカイックスマイルを浮かべたその口元からは、くっくっ、という笑い声が漏れている。
「あたしはお前らからも「欲しいもの」は得られそうにないな。」
両手に持つ二本の長剣を、ぶん、と目の前で払い、刃に付いた血を振り払う。
「やはり【紅蓮の瞳の戦士】しか、あたしが欲しい物をくれる奴はいないのか。あいつとの「契約」を約束どおり果たせば、あたしはついに手に入れることができるかもしれない。」
アエネアスは目の前の敵達を見据えながらも、【紅蓮の瞳の戦士】との出会いを思い出していた。
「か、かかれっ!」
残った三人の敵は、アエネアスの驚嘆すべき戦闘力を目の前にしても、なお逃げることなく、その使命を果たすべくアエネアスに踊りかかった。
「そう。あたしが望むものはただひとつ。」
アエネアスはつぶやきながら、右から袈裟切りに切りかかってきた敵に対し、右手の剣を軽く振り上げた。
敵の剣をはじき上げると、そのまま水平に剣をすべらせ、的確にその喉笛を切り裂いた。
それと同時に、左から突っ込んできた敵の剣を、こちらは左手に持った剣でいなし、返す刃で、鎖骨付近の鎧の隙間目がけて突きを見舞っていた。
「あたしが望むのは「死」。【バーサーカー】は常に戦いに身を置き、その剣が止まるのは自らが死ぬ時のみ。」
すでに味方を全員斬殺され、己では目の前の相手を打ち倒すことは不可能だと悟っているにも関わらず、黄金色の瞳に魅入られた最後の敵は、口角から泡を吹きながらアエネアスに突っ込んでいった。
目にも止まらぬスピードで繰り出されたアエネアスの二つの突きが、相手の鎧そのものを破壊し、心臓を通過して背中にまで貫通した。

どうっと倒れ伏す敵を見下ろし、黄金色の瞳を持つ【バーサーカー】は、いつか自らに訪れる死を願うのだった。

~to be continued~
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